口承でのみ伝わっていた神話を(神話、歴史)

文字の形で記録に留め、神々や英雄たちの関係や秩序を、体系的に纏めたのは、ホメーロスより少し時代をくだる紀元前8世紀の詩人ヘーシオドスである。
彼が歌った『テオゴニア』においても、その冒頭には、ヘリコーン山に宮敷き居ます詩神(ムーサ)への祈りが入っているが、ヘーシオドスは初めて系統的に神々の系譜と、英雄たちの物語を伝えた。このようにして、彼らの時代、すなわち紀元前9世紀から8世紀頃に、「体系的なギリシア神話」がヘレネスの世界において成立したと考えられる。
無論、それは地域ごとで食い違いや差異があり、伝承の系譜ごとで様々なものが未だ渾然として混ざり合っていた状態であるが、しかし、オリュンポスを支配する神々が誰であるのか、代表的な神々の相互関係はどのようなものであるのか、また世界や人間の始源に関し、どのような物語が語られていたのか、それらは、ヘレネスにおいてほぼ共通した了解のある、或るシステムとなって確立したのである。
update:2009年09月19日